「視覚障害を理由に授業を外され、事務への配転を命じられたのは違法だ」―。岡山県倉敷市の岡山短大准教授、山□雪子さん(51)が今年3月、短天を運営する学校法人を相手取り、配転取り消しなどを求め岡山地裁倉敷支部に訴えた。次回口頭弁論は13日。障害者差別解消法が今年4月に施行されたことから全国的に注目を集めており、道内でも支援の輪が広がっている。(東京報道編集委員岩本茂之)
訴状によると、短大側は今年2月、山ロさんが授業中に無断で教室を出る学生を発見できなかったことなどを理由に、本年度から事務に移るよう命じ、研究室の明け渡しを求めた。山口さん側は授業する地位確認と研究室の使用、配転取り消しなどを求めている。
山口さんは網膜の異常で視野が狭くなる網膜色素変性症のため目が不自由だ。地球環境に役立つ仕事をしたいと思い、岡山大の研究機関の博士課程を修了。
1999年、岡山短大に採用され、幼稚園教諭や保育士を目指す学生に幼児の環境学習法を教えてきた。
10年前から視野狭窄が進み、今は手書き文字の判読が困難になった。2014年に短大側から退職を勧められたが、私費で補佐を雇い、授業を続けた。研究や資料作成は、パソコン上の情報を音声で読み上げるソフトなどIT機器を駆使して行っている。
全国視覚障害教師の会によると、視覚障害のある教員は全国の幼稚園から大学までに200人弱。同会は5月末に山口さんの人権配慮を求め、全国7千人分の署名簿を馳浩文部科学相(当時)に提出した。署名した全盲で札幌視覚支援学校教諭の吉田重子さんは「障害者差別解消法が施行されたのに残念。山口先生の教え子がたくさん励ましの声を寄せている点からも指導力に問題はない」と訴える。
文科省は、障害のある子もない子も共に学ぶ「インクルーシブ教育」を推進している。山口さんは「学生はリポートを学籍番号順に並べ直して回収してくれる。私と過ごすことで、教師や保育士として一番大切な人に寄り添う力を学んでいる」と話す。
短大側は「コメントを差し控えたい」としている。
写真解説
岡山短大キャンパスに立つ山口さん。「教育現場から差別を解消しないと障害者差別はなくならない」