視覚障害教師の日韓交流が、さらに大きく前進(点字ジャーナル 9月号 2015年8月25日発行)
全国視覚障害教師の会代表/重田雅敏

 全国視覚障害教師の会(JVT)は、今から34年前の国際障害者年に結成された、理療科を除く教師の団体である。現在小・中・高と大学に約100名の会員がいる。創立から現在に至るまで、全国各地で孤立している視覚障害教師の拠り所として、相談・研修活動をしてきた。

 今から4年前の創立30周年を機に、海外の視覚障害教師の状況を知りたい。困っているなら応援したいとの思いで、韓国教師との交流を始めた。2013年12月末には、17名が訪韓し、初の日韓親善交流大会が実現、韓国側教師20名と念願の出会いを果たした。韓国教師会(KATVI)は、2009年に結成された新しい団体で、2006年の障害者雇用義務制度の教員への適用開始により急激に会員を増やし約120名の会員がいる。ほぼ全員が7年に満たない新規採用の若い教師で、知的障害の特別支援校に配属されている教師が多い。また、進んだインターネット社会を背景にして会員間の交流を図り、職場環境の改善を目指して活発に活動している。2015年の1月には、韓国の教師11名が来日し、日本の39名の教師との再会を果した。そこで感じたことは、国境の壁よりも障害の壁の方が大きいこと。国や言葉が違っても、同じ境遇や思いを共有して助け合うことができるということだ。孤立している障害者は、とても弱い存在だが、一人でも仲間がいれば、勇気百倍、力もみなぎる。この気持ちこそ助け合いの原点なのではないだろうか。日本各地に仲間がいる。さらに、海を越えた外国にも仲間がいる。それを知ったことの意義は大きい。2回の日韓交流によって与えられた力は、いずれ国の法律や社会の制度改善に及ぶことだろう。自分を知り、障害を知り、相手を知り、社会を知る。大きな可能性を手にした私たちは、さらに次の飛躍を呼び寄せた。

 それは、たまたまニューヨークマラソンの伴走をしてくれた方との出会いである。日韓のこれまでの取り組みを話したところ、快く第2回の交流大会に参加して韓国語の通訳や翻訳をしてくれた。さらに今年になり、その方の勧めに応じて日韓国交正常化50周年記念事業の一つである日韓文化交流基金の企画競争公募に応募したところ、韓国から若い視覚障害教師を日本に招聘するという夢のようなプロジェクトが承認された。その内容は、韓国から40名の教師とその同行者を招き、栃木県宇都宮市の小学校で視覚障害教師による音楽の授業を見学、都内で第3回日韓親善交流大会を開催、岩手県宮古市の被災地で語り部の話を聴き音楽会を実施、日本が誇る科学技術や手で見る博物館を見学などである。韓国の若い先生方が、日本で何を見て何を感じるのか。その経験が未来にどんな実を結ぶことになるのか。とても楽しみだ。

 さて、韓国の学校制度は、日本によく似ている。小学校・中学校・高等学校の名称も、漢字で表記すれば全く同じであり、6・3・3制も同じ。違うのは、学年の始まりが、4月ではなく3月、夏休みが短く、冬休みが12月末から1月末まであることだ。最近の動向として、どの学校にも電子黒板が普及し、知的特別支援校の新設も多い。全国12ある盲学校は、日本と同様に、生徒数の減少と重度重複障害の生徒の増加が見られる。日本と大きく違うのは、視覚障害教師が、盲学校ではなく知的特別支援校に多いことだ。韓国では、日本の障害者雇用促進法に追い付け追い越せとばかり、毎年沢山の視覚障害教師を採用するものの、受け入れ先の職場環境が整わず、理解も不十分なため苦労している教師が多いようだ。

 私たちJVTの34年間の経験とノウハウがどの程度役に立つかわからないし、12月24日から31日までの日程や内容に満足してもらえるか不安もある。精一杯おもてなしをして、良い印象を持って帰国してほしいと願っている。

紙面掲載担当、戸塚辰永(とつか たつなが)記者


雑誌「点字ジャーナル」紹介ページ

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