第二回日韓親善交流大会を終えて−−その成功の要因とは−−
南沢 創

 今回の企画の成功の一番の要因は,重田代表の統率により,高度に発揮された組織力であろう。関係者一人一人が役割をもち,その役割を果たすべく連絡調整し合うことで,秒刻みと言っても過言ではない緻密なスケジュールが円滑に進められた。主人公は日本と韓国の,目の不自由な教師たちである。中には勤務する学校で,目が不自由であることを理由として,校外活動や学校行事の企画運営から遠ざけられ,自信を失いかけていた者もいる。しかし,たとえ目が不自由でも,自らの役割を明確に意識すれば,大きな力が発揮できる。本冊子に納められている個々のドラマは,その大きな証である。
 しかし,企画実現に至るまでには数々の障壁があった。重田代表の一貫した意思に導かれ,試行錯誤と紆余曲折を経て,今回の企画は実現に漕ぎ着け,成功した。その足跡を年表で振り返る。

 2010年12月 韓国の視覚障害のある教師が来日。日本点字図書館を視察。
 2011年1月 重田代表がJVTのメーリングリストで,韓国の目の不自由な先生方の存在を紹介。交流の構想を発表。
 2013年8月 指田忠司氏による韓国視覚障害教師の会(KVTU)との親善交流会開催を実現させるための意見具申(JVT夏季研修総会=福井県)→韓国視察(南沢)→報告(JVTのメーリングリストにて)
 2013年9月 「韓国のKVTUを訪ねる旅」の立案と提起(南沢)→重田代表,山口通氏,長尾博氏が同行の意向を表明。→指田忠司氏が公的な形での開催を提起し,現地との仲介を申し出る。→JVTとして第1回親善交流大会の実施を決定する。
 2013年12月 第一回親善交流大会開催。(韓国ソウル)→帰国後,重田代表を中心に記録集の作成と,第二回親善交流大会開催の模索が始まる。
 2014年1月 JVT役員専用のメーリングリスト設置→議論の活発化が実現。
 2014年5月 第二回親善交流大会の開催を決定。(JVT春の拡大役員会=大阪府)
 2014年8月 開催地の絞り込み(有志による候補地視察=東京都,神奈川県横浜市)→開催地及び会場決定。
 2015年1月4日 有志による事前最終打ち合わせ(東京都)
 2015年1月15日 韓国側代表12名が来日。
 2015年1月16日〜18日 第二回親善交流大会(神奈川県横浜市)

 第二回親善交流大会開催までの主な動向を振り返ると,そこには話し合いにより個々の小さな思いが少しずつ結びつき,綿密な組織としての活動に発展した過程が垣間見える。
 しかし,先に述べたとおり,その道程は乗り越えなければならない困難の連続だった。通訳は手配できるのか,種々の必要経費は捻出できるのか,親善交流大会の企画を推進することで,本来行うべき相談活動がおろそかになるのではないか等,さまざまな意見が出てきた。
 会員から出てきた意見を瞬時に役員で共有し,対応策を検討すべきという重田代表の強い意向により,2014年1月,役員専用のMLが設置された。
 会員から挙がった意見は役員で対応できるもの,会員全体に協力やアイディアの提供を依頼して解決を目指すものに大別された。そして役員一人一人ができることから具体的に動くようになった。役員が対応し切れない部分は会員用MLで協力とアイディアの提供が依頼された。
 気付いたら高い実力をもつ通訳が5人も揃っていた。大会の運営や記録集の出版に助成金が出ることになっていた。 日韓両国で活躍する視覚障害教師が講演を引き受けて下さり,大会前に原稿が日本語および韓国語で準備され,事後にすぐ,記録集が出版できるように整えられていた。
 歓迎セレモニー,講演会,テーマ別討論会,交流会の余興など一つ一つの場面ごとに担当者が決まり,趣向を凝らした手作りの会となった。韓国からの参加者にプレゼントされる日本らしいお土産が全国各地から集まっていた。70名を超える参加者全員が,大きな感動を共有した。
 この大変な企画が進行する中,平成14年以後に,10名を超える視力低下に悩む現職の教職員に対して,綿密な相談支援活動が行われていた。
 私は関わった一人一人の底力を前に,あんぐりと口を空けて驚くことしかできなかった。「目の不自由な教員」と一言で片付けられないほど,一人一人がオンリーワンの光るものをもち,それが集まったときにできることの大きさを改めて思い知ることができた。
 全国視覚障害教師の会は,目の不自由な教育関係者である私たち会員一人一人が,研修を通じて,教育活動に貢献する力を高めていくための会である。今回の親善交流大会は関わった全ての会員にとって,素晴らしい研修の場となった。会としては今後も,個々の会員一人一人の小さな思いを汲み取り,話し合い,今回の企画に匹敵するさまざまな研修の場を作り続け,会員一人一人が視覚障害教師として,実際の教育現場でその存在意義を遺憾なく発揮していく力を高めていく。
 次は,この本を読んで下さった方々をはじめ,多くの人たちに,JVTの主催する各種研修によって培われた教育力が,実際の現場で力強く発揮される成果をまとめ,お示ししていきたい。今後とも私たちの活躍を楽しみにしつつ,全国視覚障害教師の会のあゆみに寄り添っていただけたら幸いである。


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2015年8月更新