支援や配慮を受けているばかりではない。私は仕事でも、常に工夫ができないか考えている。これは研究者としての性かもしれない。
 私は極端に視野が狭いため、板書が難しい。そのため講義はスライドを主体に、視覚的にわかりやすくするように努めている。
 小テストにもひと工夫がある。
 通常、小テストは紙でやるものだが、私の場合はインターネットでWebクイズを作り、学生がスマートフォンでお手軽に回答できるようにしている。その採点も自動集計にしているので、時間の節約にもなるし、採点ミスが起きない。クイズの答え合わせもWeb上で動画として公開している。
 学生が何度も見返すことができるので評判も上々だ。それに授業時間に余裕ができるのもよい。
 定期試験も試行錯誤の末にマークシート形式にたどり着いた。試験で最も怖いのは採点ミスだ。視覚障害のある私は、解答用紙の記述をどうしても見落とすことがある。それを防ぐためにマークシート形式にしている。スキャナーとPCで採点も半自動化しているので、まずミスは起きない。幸い、私が担当している科目は生物系の暗記科目なので、マークシートとの相性も良い。
 つまるところ、私の工夫はICT化の追求になるかもしれない。意図していたわけではない。視覚障害を補う手段を探していたら、そこにたどり着いたのだ。コロナ禍で世界が一変し、オンライ授業となったとき私は自分の強みを大いに活かすことができた。戸惑うことはほとんどなかった。これは思わぬ副産物だった。

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