視覚障害者にも関わらず、私の研究の専門は顕微鏡だ。我ながら呆れているのだが、顕微鏡を使った研究を、今に至っても続けている。
 顕微鏡で捉える生命の美しさ、そしてその説得力には惚れずにいられない。幸い、私には学生という強い味方がいる。彼らが私の「目」となり、研究を進めてくれる。もちろん、学生が撮影した画像を見て、実験について話し合うこともある。
 濃淡の薄い画像は私には見えない。だから、PCを使いコントラストを強調して見る。加えて、学生には口頭でも説明してもらう。このやり方で、私の研究は着実に進んでいる。
 研究室の学生には2つお願い事をしている。まず、研究室の整理整頓と使ったものを必ず元の位置に戻すことだ。視野の狭い私は探しものが極端に苦手だ。なので、決まったものがいつもの場所にある、これは譲れない点だ。
 もう一つは、「こそあど言葉」を使わないことだ。あれ、それ、これと言われても、私にはわからない。指示語の代わりに、場所をきちんと言葉で伝えてくれるよう徹底している。
 視覚障害のない人にはまどろっこしいかもしれない。でも、コミュニケーションを円滑にし、研究を効率的に進めるためにも重要なことだ。

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