1.私が教職を志した理由

「なぜ、教職を志したのですか?」
そう問われた時、私には3つの答えが浮かぶ。それら全てに共通するワードは「出会い」である。

 ◆第1の出会い-中1の時の社会科教員
 当時の私には、これといった夢がなく、自分の将来像が全く見えていなかった。
 そんな時に出会ったのが、その年初めて教員になったばかりの社会科の男性教員であった。彼の授業は、特別面白かったというわけではなかったが、授業を受ける度に、教職に対する熱意のようなものが感じられ、当時の私には、それが輝かしく思えた。それと同時に、「勉強を頑張ろう!」という気持ちが自然と沸いてきた。これが、私が教職を志した最初の出会いであったが、その時はまだ、将来の進路における一つの選択肢でしかなかった。

 ◆第2の出会い-全盲の教員と過ごした2年間
 中学2年生になり、担任が全盲の男性教員に変わった(同時に社会科の担当も、この先生に変わった)。この先生には、中学を卒業するまでお世話になったのだが、教職に興味を抱き始めていた私にとって、この出会いはとても新鮮だった。
 授業やテスト採点の方法など興味が尽きず、休み時間や進路学習の際にお話を伺ったり、日常のふるまいに注意を向けたりしていた。
 そうしている内に、周囲の先生だけでなく、弱視の生徒にもサポートを求めたり、課題提出方法のルール化(ページ番号と名前を全ての用紙に書く、フォッチキスなどで閉じて提出するな
ど)を徹底するなどの工夫をされていることに気付いた。そして、中学卒業時には、「将来の進路における一つの選択肢」だった教職が、「将来の夢」へと変わった。

 ◆第3の出会い-教員として、人として尊敬する人と過ごした高校時代
 高校に進学した私は、教職課程のある大学を探したり、周囲の先生に話を聞くなど、教職を見据えた活動を始めた。その中で、国語と地理歴史を3年間担当していただいていた女性教員にお話をお伺いする機会があり、彼女の教職に対する思いに触れることができ、大変感動し、活動への意欲が益々沸いた。詳細な内容は差し控えるが、仕事に取り組む姿勢、生徒に対する思いなど、尊敬できる点が多々あった。そして、これを切っ掛けに彼女と話をする機会が増え、現在では、教職に関する相談はもちろん、公私に渡り交流をもたせていただいている。

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